選手と観客が一体化。自由度が高い「Vibes Kings」の魅力

Air TechnicianのYoとKazaneが主催する大会「Vibes Kings Vol.2」が、6月24日(日)に東京・スターライズタワーで行われた。

同大会は「アンダーグラウンドからトップレベルになるプレイヤーを育てる」「自分たちのカッコイイと思うものを浸透させ、影響を与える」ことをコンセプトに、年4回開催される予定となっている。

 

自由度が高く、技術と表現力が求められる大会

Vibes Kingsの特徴は、その自由度の高さにある。ルールは1ターン60秒以内の3ムーブ制(予選は2ムーブ制)で、尚かつムーブの長さは制限時間内であれば自由となっている。

バトル形式の大会では1ターン30秒が主流だが、Vibes Kingsはあえて60秒“以内”に設定されている。

 

60秒以内であれば、例えばエアームーバーは難易度の高いハードコアなコンボを十数秒で決めて、インパクトを残した状態でターンを締めることもできる。対してブロックスタイルの選手は、時間を存分に使ってフローで対抗するなど、60秒という十分な時間を自由に使えることで、より臨機応変な戦い方が可能となっている。

 

また、先攻・後攻は選手同士で決めることができ、先にボールへ触れた者が先攻となる。このルールも、選手同士のある“駆け引き”を生んでいる。

準々決勝のふじ vs Akimitsuでは、どちらも先行を取らない中で、ふじがAkimitsuに「来いよ」とジェスチャーで煽りを入れた。その煽りにAkimitsuが応え、3DEXを交えたハードコアなコンボを披露した。

このバトルではAkimitsuが勝利し、JFFC2017でベスト4に進出したふじに対して、今大会最高の下克上を果たした。ヘッドジャッジのIbukiは、Akimitsuの勝因に「1ターン目でふじの煽りに対して、ベストアンサーを返したこと」を挙げた。

このように、Vibes Kingsはルールの自由度が高い分、バトル中に様々な駆け引きが見られるのが魅力である。

 

「技術が伴った上での表現力」

大会の性質が違えば、ジャッジの基準も普段とは異なる。優勝を果たしたKo-sukeが、大会後に「より自分の色を出した選手が評価される大会」と語っており、技術に加えて表現力、あるいは技術を生かした表現力を持つ選手が勝ち上がった印象がある。

Vibes Kingsは選手と観客の距離が近く、選手の一つ一つの技やフローに観客が大きな反応を示している。その観客の声援に選手も応え、互いの“バイブス”で一体感ある空間を作り出している。

Ibukiは「フレーバーや楽しさも評価している」と序盤にジャッジの基準を解説している。その言葉通り、Vibes Kingsは相手との駆け引きや、観客をいかに盛り上げるかも勝つ上でのポイントとして挙げられる。

 

ベスト4に勝ち残った選手を見ると、圧倒的なエアームーブで観客の期待に応えるAkimitsu、唯一無二の“かっこよさ”で観客を魅了するKURO、難易度の高いアクロバット技に次々と挑戦するSyo-ta、そして技術と表現力を世界レベルで兼ね備えているKo-sukeと、より観客にフレーバーと楽しさを伝えることができる4人が勝ち残った印象がある。

Akimitsuに関しては、エアームーブの技術の高さ“だけ”でベスト4まで勝ち進んでいた。ジャッジの一人であるMAXが「世界基準で見ると、日本のエアームーバーのレベルは低い」とコメントし、出場したエアームーバーには軒並み低い評価を与えていた。その中でAkimitsuはただ一人、エアームーブのレベルが突出しており、高評価を得ていた。

KURO、Syo-ta、Ko-sukeの3人は、「高い技術を生かした表現力」を備えており、観客を待ち込む力が高かった。言い方を変えれば「技術が伴った上での表現力」を持っており、技術は勝ち進む上で大前提に思えた。

 

選手と観客が作り上げる空間

Vol.1には次世代の若手が数多く出場したが、Vol.2にはRed Bull Street Style 2016 World Final準優勝のKo-sukeや、JFFC 2017ベスト4のふじなど、強豪フリースタイラーも数多く参戦した。

出場を決めた経緯について、Ko-sukeは以下の通り述べていた。

「前回大会の動画を見た時に、観客がすごく楽しもうとしているし、選手側もそれを感じて、観客を楽しませようとしている大会だと感じました。普通の大会だと、どうしても勝たなければいけないプレッシャーがあって、そういった意識が薄れがちになってしまいますけど、Vibes Kingsは選手と観客が良い空間を作り合っていると思います」

出典:Japanesefreestylers JFS

選手と観客が呼応していることが動画でも伝わり、実際に出場してみても「求めていた空間があって、すごく価値のある大会だった」と、期待通りの空間に満足感を表している。ルールに加え、観客の盛り上がり方も自由度が高く感じられた。

 

Vibes Kingsは年4回の開催を通して、各大会の順位に応じて選手にポイントを付与し、年間ランキングを決定する。そのランクによって来年度からは、トップ16以上は1部トーナメント、それ以下は2部トーナメントへとプレイヤーが振り分けられる。

来年から形式が変わるということは、今とはまた一味違った大会に生まれ変わっている可能性がある。YoとKazaneが創り上げたVibes Kingsが、今後どのように変化を遂げていくのかを楽しみたい。

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投稿者プロフィール

Hiromu Tanaka
Hiromu Tanaka
中学生からフリースタイルフットボールを始め、大会やパフォーマンスなどに積極的に参加。現在はフリーランスで、スポーツを中心に様々なWebコンテンツを配信。JF3の運営をはじめ、フリースタイルフットボール界を盛り上げるべく、多岐に渡る活動を行っている。

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