JFFC 2018 supported by CHIMERA TV&GAMESの予選大会が7月14日(土)に開催し、勝ち抜いた14人が8月4日(土)の決勝大会に駒を進めた。

今回の予選大会には48人がエントリーし、JFFC初出場の若手が数多く出揃った。その中で、BABYLON、KOHEI、RYO、Tsukasa、Pockyの5人が初の決勝大会進出を決めている。

 

「世界で戦える日本人」を選ぶ大会

まずは、予選大会の2日前に公表した今大会のジャッジ基準をもとに、予選を振り返る。

JFFCは、2015年の初代大会から一貫して「世界で戦える日本人」を選ぶことを目的としている。それに伴い、今回の予選大会のジャッジには、横田陽介(2008年世界2位)、Ko-suke(2016年世界2位)、Kim TaeHee(元韓国王者)と、世界大会への出場経験を持つ3人を招へいした。

また、7月28日(土)の予選大会と決勝大会にも、横田陽介、Michryc(現世界王者)、Nam The Man(アジア連盟理事)、Phat(現ベトナム王者)と、世界を知る4人が名を連ねている。

世界大会で勝つためには、スキルやオリジナリティ、シーンのトレンドなど、あらゆる要素が必要とされる。言い方を変えれば、どれか一つの要素に特化していたとしても勝てないのが世界大会といえる。

今大会のジャッジに関しては、周囲からいくらか不満の声も聴こえた。たしかに、“普段”の大会ではAが勝っていたであろうバトルで、Bに軍配が上がったケースは何度か見られた。

ただ、JFFCは「世界で戦える日本人」を決める大会である。ジャッジは30秒×3ターンで行うバトルの純粋な勝敗を決めるのではなく、より世界大会で勝てそうな選手に旗を上げている。

 

その基準が色濃く見られたのが、2次予選バトルラウンドのRYU vs Tsukasaの一戦だった。

RYUは序盤からバク宙を交えた技やジョーダンストールなど、アクロバットを連発していた。一方のTsukasaは、Hiro-Kに影響を受けていることもあり、より日本人らしいスタイリッシュな技が多かった。

純粋に3分間のバトルとして見れば、難易度の高さやミスの少なさなどでRYUが上回っていたと考えられるが、勝ったのはTsukasaだった。

 

RYUのスキルの高さは今大会で際立っていた。しかし、海外のトップレベルのフリースタイラーと似たようなスキルは持ち合わせているものの、スキルだけで対抗できるほどの力はないという印象があった。

それに対してTsukasaは、海外のフリースタイラーにスキルで対抗できる力はないものの、彼らが持ち合わせていないスタイルやオリジナリティがあった。

「世界で戦える日本人」を決めるというJFFCのジャッジ基準に照らし合わせると、3分間のバトルではRYUが上回ったが、より世界で戦えるのはTsukasaだと判定された。

 

このようなケースは他のバトルでも見られた。今回の予選大会では、スキルの高い若手が数多く見られたが、スキル“だけ”では世界で戦うのは難しい。そのスキルを生かしてオリジナリティ溢れるスタイルを追求していくか、そのままスキルで飛び抜けるか。

日本のトップ3で例えれば、スキルを生かしたオリジナリティを追求しているのがKo-sukeとHiro-Kで、スキルで飛び抜けて尚かつオリジナリティも追求しようとしているのがYoである。

正直なところ、このトップ3に食らいついていけると思わせるフリースタイラーは、今回の予選大会では数少なかった。Ibukiやうっしーにはその可能性を感じたが、全体的な出場者のレベルを見ると、トップ3との差はかなり大きかった。

 

「誰に何を伝えたいのか」

今回の予選大会は、1次予選、2次予選ともに、サークルラウンドとバトルラウンドに分けて開催した。

バトルラウンドは闘技場のようなケージの中で行ったが、各バトルを見ていると、フリースタイルフットボールがより観客を集められるコンテンツになるために必要な課題が感じられた。

 

フリースタイルフットボールは“エンターテイメント”という前提で話せば、観客を楽しませるということはマストである。ただ、JFFCという大会に限っていえば、観客を盛り上げることは勝敗には関係ない。

とはいえ、観客を盛り上げる必要性はある。JFFCが今後、より大規模で魅力ある大会に昇華していく上で、集客は欠かせない。もっと広い観点でいえば、フリースタイルフットボール界を盛り上げていくためには、今以上に魅力的なカルチャーにしていかなければいけない。

 

今回の予選大会には、48人の選手と、スタッフ、そして観客が会場に足を運んだが、やはり観客を見ていてもフリースタイラーが多い印象はあった。猛暑の中での開催ということもあったが、一般客は数少なかったのではないだろうか。

 

大会やイベントを盛り上げる上では、運営側の集客の問題はもちろんあるが、パフォーマーが観客を呼べる人間か否かも重要である。

今回のバトルラウンドを見ていると、選手たちが自分のパフォーマンスを観客に見せたいのか、ジャッジに見せたいのか、それとも相手に見せたいのかが曖昧だと感じた。

 

“バトル”である以上は相手を意識して戦うことが正しいとも考えられるが、必ずしもそうではないと思う。

ジャッジに勝敗を審査してもらう以上、相手を無視してジャッジに向けてパフォーマンスすることも一種の表現方法ではある。同様に、観客を盛り上げたいという意思があるのなら、観客に向けてパフォーマンスをしても良いはず。

しかし、ケージの外側からバトルを見ていると「誰に何を伝えたいのか」が感じられる選手は数少なかった。

 

1次予選バトルラウンドのIbuki vs SYUN-YAに関していえば、互いに終始表情が硬く、ムーブ後に相手を挑発し合う姿からはバチバチ感が伝わった。同年代対決で、尚かつ交友関係が深いというバックグラウンドもあってのことだが、バトル感の強い一戦ではあった。

もちろん、この他にも「誰に何を伝えたいか」が伝わる選手はいたが、全体的に見れば黙々と自分の技に集中している選手が多く、中には壁に向かってパフォーマンスをしている選手もいた。
(黙々と技に集中するのは悪くないが、さすがに壁に向かってパフォーマンスするのは、ジャッジにも見えづらく不利に思える)

 

前述した通り、これは勝敗に関わる話ではないので、あくまで参考意見として耳を傾けてほしい。フリースタイルフットボールがより魅力的なコンテンツになるには、観客を楽しませられる選手が増えていかなければならない。

そのために、選手たちが“表現者”としての自覚を少しでも持つことができれば、JFFCは今以上に盛り上がる大会になるのではないだろうか。

 

P.S

7月14日(土)の予選大会に出場した選手の皆さま、お疲れ様でした!

当日は猛暑の中での開催ということもあり、体調を崩している選手も見受けられました。7月28日(土)の予選大会に出場する皆さまは、熱中症対策を忘れないようにお願いいたします。

投稿者プロフィール

Hiromu Tanaka
Hiromu Tanaka
中学生からフリースタイルフットボールを始め、大会やパフォーマンスなどに積極的に参加。現在はフリーランスで、スポーツを中心に様々なWebコンテンツを配信。JF3の運営をはじめ、フリースタイルフットボール界を盛り上げるべく、多岐に渡る活動を行っている。