このカルチャーにどう在ってほしいのか?日本王者の新ルールへの見解

6月に世界フリースタイルフットボール協会(WFFA)が新しいジャッジシステムを発表した。その詳細は、以前のJF3のコラムで確認できる。今回は、そのルールについて個人的な見解を述べていきたい。

世界中で共通のジャッジを。WFFAが定める新ジャッジシステム

 

RBSS初年度からのコンセプトの変化

個人的には、フリースタイルフットボールのバトルは生モノであるべきだと思う。本当にいつ何時も最高の価値があればいつでも勝てるはずだし、負けることがあるのは、ある場面では相手のほうが価値があるということを忠実に表してくれる。旗上げ方式のジャッジは最もリアルでフェアだと考える。

しかし、WFFAによって明確なルール(評価基準)が定められた。フリースタイルにおいて評価基準を定めるということは、最高のゴールやあるべき姿を達成するための理想的な手段・要素を定めるということである。なお、ここでいう“ゴール”とは、バトルに限った話とする。

 

まず、以前のRBSSのゴールは、スキルや表現を駆使するところまでは今後も同じだが、結果としてジャッジや会場を“ロック”するという広い意味でのゴールだけがあったように思える。

少なくとも、Red Bull Street Styleの初年度(2008年)はそうだった。個人的な見解で言えば、このほうがよりFreestyleだし、RBSSの名の通り、よりStreet Styleだったと思う。そして、二者択一の旗上げ方式では、まだこういったゴールそのものやコンセプトが尊重されやすい。

(なお過去のRBSS日本予選では、3人のジャッジにそれぞれ評価基準を分けたこともあったが、これは2/3の票を取ればいいだけのゲームになっていた気がする)


Red Bull Street Style 2008

 

それに対して逆に今回のルールは、ゴールを定めない段階でゴールするための過程の話をし始めてしまっている。典型的に、手段と目的を取り違えているように思う。ゴールがあるのだとしても、それはルールの設定者の頭の中にあるし、公表はされていない。

さらに内容を見てみると、技の難易度やバリエーション、雰囲気やフィーリングに関わるところまで最大点数と比重を設定しているようである。

 

従来の考え方で言えば、これらのルールはどれもゴールのための手段であり、プレーヤーが手段を自由に選べるのがFreestyleのはずだった。それらの要素をやるべきStyleとして点数を設定すると、カルチャーの全体像を見た時に、オタクの細かい点稼ぎゲームになりやすいように思える。

雰囲気やフィーリングの部分をなんとなく数値化することもおかしいし、スキルと一緒くたに計算することもおかしい。

 

ただし、数字に起こせば誰にでも分かりやすくなり、広めやすくもなるので、今ある問題をクリアした計算方法やジャッジ形式があればぜひ見てみたい。

そして、バトルで勝つためだけに用意したムーブは、バトルでしか意味がないことも多く、一般的に価値があるかというと分からない(バトルに勝つという結果そのものに大きな意味があればいいのだが)。ルールを設定することによって、今後はそういうものが増えるように感じる。

 

一歩間違えればただのオタクのゲームになる

ここからはルール以前の話になる。そもそもルールの設定者たちは、なぜルールを定めたのか。そして、どうしてこのようなルールになったのかを考えてみる。

仮説としては、彼らがフリースタイルフットボールをスポーツと捉え、体操やフィギュアスケートのような魅せるカルチャーながらも、ルールと得点を設定して、スポーツ化したもののような形を目指しているということが考えられる。そう解釈すると、彼らの色々な振る舞いについて、つじつまが合う。

 

つまり、フリースタイルフットボールはスポーツではないという考え方や、RBSS初期の頃の考え方とは、根本的に違った見解を示している。

今回のルールで「点を稼ぐゲームになる」というように前述したが、スポーツ化することで誰にでも理解され、ビジネスにすることができれば、そのゲームもお金を稼いで生きていくための職にはなるのかもしれない。

ただ、個人的にはお金にするにしても、もっとエンタメに寄せるほうが良いのではないかと思う。そういう意味でも、元来のゴールやコンセプトを尊重するべきだと考える。

 

ルールの設定も世界大会となると、フリースタイルフットボールに携わる人の生き方や考え方を左右しうる。逆に本来、ルールの設定前に自分たちがどう在りたいか、このカルチャーにどう在ってほしいかを、設定者側にインプットする必要がある。

個人的な見解は始めの方に述べたが、皆はどうだろうか。

 

何も在るべき姿を決めるべきというわけではない。しかし、今回のようにルールを定めるということは、在るべき姿をそれなりに決めてしまうということでもある。

今回の評価基準を完璧に満たした時、それはフリースタイルフットボールの在るべき姿と思えるのか。それを見せることで、フリースタイルフットボールに本当に憧れる人がどれだけ出てくるのか。

フリースタイルフットボールを始めた頃の気持ちや、今も続けている理由を含めて、皆の意見を聞きたい。

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投稿者プロフィール

Ko-suke
Ko-suke
中学2年でフリースタイルフットボールを始め、中学3年からパフォーマンス活動を実施。2015年にアジア大会で日本人初優勝を果たすと、2016年には世界で最も権威ある「Red Bull Street Style」で準優勝を果たした。

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