問われる「フリースタイルフットボールスクール」の存在意義
フリースタイルフットボール人口の増加につれて、最近はフリースタイラーが初心者向けにスクールを開催することも多くなりました。
しかし、近年ではスクールに行かずとも、フリースタイルフットボールの初心者向け動画から上級者向け動画まで、インターネットで膨大な量の動画を“無料”で閲覧することができます。全国各地で練習会(JAM)も頻繁に開かれており、お金を払わないでもフリースタイルフットボールを習うことが可能となりました。
そこで問われるのが、スクールの存在意義です。
以前は低かった“ハードル”
JAMは10年前ほどに比べてかなり多くなり、今ではインターネットやSNSで調べれば、ある程度の開催情報は把握できます。一方で、近年のJAMは、初心者には少し「ハードルが高い」と感じる部分が増えてきています。
以前はフリースタイラーの人口が少ない分、JAMはフリースタイラーのコミュニケーションの場としても機能しており、上級者が初心者に技を教えたり、交流を深めようとJAM後に食事に行ったりと、仲間作りに積極的でした。
それが、現在は競技人口や知名度も上がり、全国各地にフリースタイラーが存在するようになったことから、練習相手を作ることも容易になりました。その分、以前に比べれば仲間作りへの積極性は希薄になっているように感じます。
練習相手がいる分、モチベーションが保ちやすい部分ことはメリットとして挙げられますが、仲間内で固まってしまう傾向が強くなっています。JAMを開いても「いつものメンバーしか集まらない」という状況も多いのではないでしょうか。
外からフリースタイラーが来たとしても、技のレベルの向上や、スタイルの多様化もあり、「ある程度のスキルを持っていないと入りづらい」「スタイルが合わないと輪に入りにくい」などと言った“ハードル”が敷かれてしまうこともあります。
スクールが生む新たな循環
そんな状況で必要とされるのが、スクールの存在です。スクールに来る方は当然ながら初心者が多く、大人から子どもまで幅広い年代が集い、女性の方も参加します。
大半のスクールでは、参加者全員が同じ課題にチャレンジしていきます。ある程度の個人差はありますが、初心者だと技がいきなり成功することは滅多にないです。だからこそ、全員で同じ課題をクリアするまでの苦労を共有しあうことができます。
その中で対抗心や仲間意識も自然と芽生え、競い合う仲間や練習相手が増えて、フリースタイルフットボールが楽しくなっていきます。楽しむことができれば、次のスクールに向けてのモチベーションにも繋がります。
スクールに通い続ける方は、課題にチャレンジする苦労をすでに味わっているため、新しく来た人たちに教えたり、交流を深めたりと、周囲を巻き込んで楽しむ力が強い印象があります。
このように自分が上手くなるだけでなく、人に練習方法や楽しみ方を伝えていくことによって、新たな仲間が増え、その仲間がさらに他の人に伝えていくという循環が生まれます。これこそがスクールの魅力であり、存在意義だと感じます。
フリースタイルフットボールのレベルが高くなっている今だからこそ。
「もっと広めたい」「楽しみたい」「仲間を増やしたい」という考えを持ったフリースタイラーは、初心者の入り口を広げ、フリースタイルフットボールの楽しさを多くの人に伝えるべきではないでしょうか。
投稿者プロフィール
- 横田陽介率いるBall Beat Crewの一員としてパフォーマンス活動を行なっている。その独特な髪型を生かした数々のオリジナル技で、観客を笑いの渦に巻き込む。大のフリースタイルフットボールマニアでもある。
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