歓喜と屈辱を超えて。日本王者Yoが新たなスタイルで世界に挑む
2月22日(木)に、DAZN主催の世界大会「DAZN World Freestyle Masters 2018」が開催となります。同大会では、世界ランキングの順位や実績に基づき選出された男子16名、女子8名のフリースタイラーたちが頂点を目指します。
開催国の日本からは、男子部門にYo、女子部門にmoe-Kが出場します。
結果を残したものの「噛み合わなかった」昨年
「昨年の大会では、1回も自分のスタイルを出せなかったんですよ」
2017年、YoはJapan Freestyle Football Championshipを制して自身初の日本王者に輝き、SUPER BALLでは世界ベスト8進出を果たしました。順風満帆にも思われる成績を収めたにも関わらず、この第一声を発した背景には、完成度の不足がありました。
「周りから思われている僕のスタイルと、僕が作っているスタイルは実はすごく違うと思うんです。去年は出し切れなかった部分と、出し惜しみしてきた部分がありました。1年くらいかけて作ってきたようなものばかりで、それでも技の精度に問題があったり、ここで出すのがもったいないと思うこともあって」
Yoはここ数年で世界に通用するエアームーブに加え、シッティングやアッパーなどのあらゆる分野でオリジナリティを見出してきました。さらに大会での表現力も増し、感情を表に出した熱いバトルを繰り広げています。
スキルと表現力に磨きをかけ、結果も出ている一方で、昨年の出来を振り返り「噛み合わなかった」と語るYo。DAZN World Freestyle Mastersまでの準備期間は、新しいものを出すためのトレーニングに時間を費やしてきました。世界のトッププレーヤーが集う今大会は、まさに自分のスタイルを出し切る“最適な舞台”といえます。
「自分のスタイルを出し切るために必死で準備しています。初戦からフルスロットルでやっていくつもりです」
“ホーム”で最高の結果を
今大会で戦いたい選手を問うと、Yoは真っ先に「強いフリースタイラーとやり合いたい」と答えました。
「世界王者のRicaldinho(ブラジル)やMichryc(ポーランド)、それにFagerli兄弟(ノルウェー)とも戦いたいですね」
Ricaldinhoは昨年、Yoも出場したSUPER BALLを制して世界一に輝きました。この大会で、Yoはベスト16で同胞のKazaneを下し、準々決勝に進出したものの、怪我の影響で大会を辞退せざるを得なくなりました。「優勝」を目標に掲げていたSUPER BALLで悔しさを痛感しただけに、今大会ではその雪辱を晴らすことも期待されます。
また、昨夏に出場したCarabao Freestyle Football World Cupでは決勝に進出したものの、最後はFagerli兄弟の弟・Erlend(ノルウェー)に敗れました。
そのErlendを含め、今大会はPWG(フィリピン)やGautier(フランス)、Brynjar(ノルウェー)など、過去に対戦経験を持つフリースタイラーが数多くいます。
「みんな、たぶん何かしら新しくなっているだろうし、見たことのないものも出てくると思うんですよ。あのメンバーとだったら誰とやってもレベルの高いバトルになるはずだし、毎回が決勝戦のような気持ちで挑みます。もちろんErlendにはリベンジしたい気持ちもあるし、自分のスタイルのほうがかっこいいということを証明したいです」
世界トップレベルのハードコアなエアームーバーが多い中で、Yoも近年は世界に対抗できるエアームーブのスキルを作り上げてきました。ただ、エアームーバーに対する戦いの考え方にも、Yoは自分自身に変化を求めています。
「僕もある程度はハードコアなエアームーブで返せると思うんですよ。でも、それだと今までと変わらないので、やり方をスタイリッシュにしたり、相手を意識した技の表現方法だったり、色々と考えていて。相手と同等、もしくは同等以上のスキルを備えた上で、そこに自分のスタイルを乗せる練習をしています」
そして、今まではアジアやヨーロッパなどの国際舞台に参戦してきた中で、今大会は自国開催の大舞台となります。日本人の期待を一身に背負い、多くの仲間も会場に集う“ホーム”で、悲願の優勝を狙います。
「自国開催の舞台で日本人が優勝したら、この上ないですよね。僕の伝えたいことはパフォーマンスを通じて伝えるつもりなので、もちろん一試合でも多く戦いたいです。お客さんには来て良かったと思わせたいですし、間違いないものを見せられる自信はあります」
今年新設されたDAZN World Freestyle Mastersの“初代王者”へ。20歳の若武者が、長い時間を掛けて作り上げた新たなスタイルを、世界の舞台で披露します。
投稿者プロフィール
- 中学生からフリースタイルフットボールを始め、大会やパフォーマンスなどに積極的に参加。現在はフリーランスで、スポーツを中心に様々なWebコンテンツを配信。JF3の運営をはじめ、フリースタイルフットボール界を盛り上げるべく、多岐に渡る活動を行っている。
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