16歳で臨んだ初の世界の舞台。師匠への“恩返し”を胸に挑戦は続く

2月22日(木)に恵比寿リキッドルームで行われたDAZN World Freestyle Masters。女子部門には世界トップランクの8人が出場し、日本からは大会最年少となる16歳のmoe-kが参戦したが、1回戦でKalina(ポーランド)に敗れた。

日本開催のホームゲームで、観客の期待を一身に背負って戦ったものの、結果としては初戦敗退。自身初となる世界大会を終えたmoe-kの心境と、彼女の“師匠”でもあり、今大会では解説を務めたHiro-Kが抱く今後への期待とは?

初の世界大会で今大会“最強”に挑む

moe-Kは今大会、世界王者であるLiv Cooke(イギリス)の代役として、急きょ出場が決定した。

トーナメントの組み合わせは、世界ランキングの上位から順にランクの低いフリースタイラーと戦う。そのため、出場者の中で最もランクの低いmoe-Kは、今大会“最強”のKalinaと初戦で対戦することが決まっていた。

今大会で世界王者となったkalinaとのバトルを振り返り、moe-Kは「Kalinaは自分が好きなフリースタイラーなので、一緒に対戦できて本当に楽しかった」と、世界のトップを体感できたことに喜びを示した。

しかし、バトルでは経験値やバリエーションの差を痛感させられたはず。Red Bull Street StyleやSUPER BALLなどの大舞台を経験しているKalinaは、初戦から安定感抜群のフローを披露した。

一方で、世界大会初挑戦のmoe-Kは序盤から緊張が感じられ、ミスが散見された。本人が「3ターン目が一番気持ち良くできた」と振り返るとおり、3ターン目はシッティングを中心に個性を発揮したが、時はすでに遅く0-3の判定で敗れた。

moe-Kのサポートを行ってきたHiro-Kも「経験の浅さが出たと思う部分はある」と、バトルを振り返った。

自分のスタイルにさらなる磨きを

番狂わせを起こすことはできなかったものの、今大会最年少の16歳という年齢で、この大舞台を経験できたことは、今後の大きなアドバンテージになるのではないだろうか。

「始まる直前まではプレッシャーや、初の世界大会という不安もあったものの、声援が聞こえた瞬間に一気に自分の世界に入り込めた。思っていた以上に気持ちよくフリースタイルができて、応援してくださった皆さんには感謝しかない」

自国開催の世界大会で、大声援を浴びてプレーする機会は稀にしかない。バトル後に自然と笑みが溢れていた姿からも、その貴重な経験を楽しんでいたことが感じられる。

 

今大会にはKalinaの他にも、SUPER BALLでの優勝経験を持つLucia(スロバキア)など、多くの強豪選手が出場した。大会後に『世界との差をどこに感じたか』と問われると、moe-Kは「経験値やバリエーション、技の一つ一つの完成度」と答えた。

今の段階では、前述した経験値の差に加え、世界に比べるとエアームーブやシッティング、アッパーをオールラウンドにこなす能力も不足している。

しかし、Hiro-Kが「フリースタイルフットボールは足りない部分を埋めることよりも、個性を伸ばすことのほうが意味はある」と述べるように、moe-Kのような自分のスタイルが確立された女子フリースタイラーは世界で数少ない。

「今回の敗戦は一つの経験として、moe-Kは自分なりに受け止めていると思う。このタイミングで自分のスタイルをもう一度見つめ直して、自分なりのスタイルの完成に向けて取り組んでもらえればいい」

もちろん短所を改善することも最低限は必要だが、このHiro-Kの言葉どおり、今後は自分のスタイルにさらに磨きをかけることが求められている。

恩返しを胸に世界の頂点へ

Photo by FINEPLAY

Hiro-Kは、moe-Kのスキルの面を高く評価する一方で、彼女を「努力の人」と称している。大会に向けては共に練習を積んできたが、「自分にも見せていない努力がたくさんあったはず」と感じている。

「これまでmoe-Kからはたくさんの感動をもらってきたし、改めて自慢の弟子だと思った。自分のもとでフリースタイルフットボールを始めてくれてありがとうという気持ちが強い」

moe-K自身も「Hiro-Kさんから学ぶことは本当にたくさんある。今回も大会に向けていろいろと支えてくれて、時には自分のバトル相手にもなってもらって、感謝しかない」と、ここまでのサポートに感謝を示している。

 

moe-Kは、今後の目標に「日本の男女混合の大会で結果を残すこと」と「世界大会で優勝すること」の2つを掲げている。

「今回初めて世界の舞台に立って、思っていた以上に楽しくて、また必ず出たいという気持ちが強くなった。いつか世界大会で優勝して、Hiro-Kさんに恩返ししたい」

日本の女子フリースタイルフットボール界のトップを走る16歳は、師匠への恩返しを目指し、今後も世界への挑戦を続ける。

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投稿者プロフィール

Hiromu Tanaka
Hiromu Tanaka
中学生からフリースタイルフットボールを始め、大会やパフォーマンスなどに積極的に参加。現在はフリーランスで、スポーツを中心に様々なWebコンテンツを配信。JF3の運営をはじめ、フリースタイルフットボール界を盛り上げるべく、多岐に渡る活動を行っている。

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