世界中で共通のジャッジを。WFFAが定める新ジャッジシステム

世界フリースタイルフットボール連盟(WFFA)は、今年6月にバトルにおける新ジャッジシステムを発表した。同システムは今後、世界各国で行われている大会でも実装されていく予定だが、このシステムはなぜ設けられたのだろうか。

 

これまでのフリースタイルフットボール界には、全世界共通の明確なルールは存在しなかった。大会ごとにジャッジの基準は異なり、ジャッジ陣の主観によって勝敗が左右されるケースは多かった。

そこでWFFAは選手、ジャッジ、観客に対して、なぜ選手Aが勝ち、なぜ選手Bが負けたのかを明確にするために、新ジャッジシステムを導入した。これによって、選手も次のバトルに向けた改善点が分かりやすくなり、誰がジャッジをしても公平性が生まれる。

観客のフリースタイルフットボールに対する理解度が高まることで、スポーツとしてのレベルも高められるということがWFFAの狙いである。

 

それでは、具体的に新ジャッジシステムとはどのようなものなのか。

 

  1. 難易度とレスポンス
    ・全体のパフォーマンス(80%)
    ・相手のムーブへのレスポンス(20%)
  2. オールラウンド
    ・各ジャンルのレベルの合計(100%)
  3. オリジナリティ(+バラエティ)
    ・オリジナルムーブ(20%)
    ・シグネチャースタイル(30%)
    ・バトルのバラエティ(20%)
    ・全体のバラエティ(30%)
  4. 実技
    ・技のクリーンさ(25%)
    ・フロー(25%)
    ・スタイル(20%)
    ・ダイナミックさ(10%)
    ・音楽との融合性(10%)
    ・バトルへの姿勢(10%)
  5. コントロール
    ・コントロール(50%)
    ・ミス(50%)



上記のように5項目の基準が用意され、それぞれジャッジを1人ずつ振り分け、各項目を5点満点で採点する。5項目に分けることによって、ジャッジは自分が担当する基準に集中できるため、勝敗の判断が容易となる。そして最終的に各基準のポイントを集計することによって、合理的な結果が得られる。ただ、もちろんすべての基準が完全に分離しているわけではなく、重複してしまう点もある。

5ポイントは、その選手以上のパフォーマンスがもう出ないと思われた時に与える“最大ポイント”であり、安易に出すことはできない。また、レベルの高い大会と低い大会で、同じ基準でポイントを与えてしまうと、レベルが低い大会では1ポイントや2ポイントが連発してしまう可能性がある。その場合には、通常よりも1〜2ポイント加算してジャッジする可能性があるという。

 

また、SUPER BALLでは30秒×3ターンをフル活用している選手が多い一方で、JFFCでは1ターンを20秒〜25秒で終える選手も少なくない。これに関しては、ルール上はターンを早く終えてしまっても問題ないとのことだが、ポイントを稼ぐための機会損失にはなりかねない。

特に現在、世界最強と言われるErlend(ノルウェー)は、30秒×3ターンの中でノンストップで高難度の技を繰り出しており、それが彼の強みとなっている。

しかし、30秒×3ターンをフル活用したとしても、締め技が30秒よりオーバーした段階で決まってしまうこともある。現在は30秒をオーバーして決めた技は無効となってしまうが、WFFAでは今後、1〜3秒のバッファタイム(予備の時間)を儲けることも考えているという。

 

ジャッジには、フリースタイルフットボール界のトップレベルで4年以上に渡って活躍してきた者が招へいされる。当然ながら「難易度」を担当するのは技の難易度を理解できる者であり、「オリジナリティ」なども同様である。

ただ、このシステムが必ずしもバトルに良い影響を与えるとは限らない。基準を細分化したことによって、どれだけジャッジの主観を抑えられるかは未知であるし、5人のジャッジを集めることも容易ではない。はたして世界的にこのシステムが浸透していくのかも分からない。

 

新ジャッジシステムのメリットとして「選手が次のバトルに向けた改善点が分かりやすくなる」と前述した。たしかに基準が明確化されて、どの部分が足りなかったのかは分かりやすくなるが、一番良い解決策はバトル後にジャッジに“質問する”ことだろう。7月に行われたJFFC 2018の予選大会でも、バトル後にジャッジに敗因を尋ねる若手フリースタイラーの姿が何人か見られた。

もっと言えば、敗因はできるだけ早く聞いたほうが良い。ジャッジは数多くのバトルを担当しているため、すべてのシーンを記憶しているとは限らない。

敗因を知ることで選手は次のバトルに向けて対策をするし、ジャッジは敗因をしっかりと伝えるために答えを用意しなければならない。これによって選手、ジャッジが互いに作用し合い、より質の高いバトルが生まれるのではないだろうか。

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投稿者プロフィール

Hiromu Tanaka
Hiromu Tanaka
中学生からフリースタイルフットボールを始め、大会やパフォーマンスなどに積極的に参加。現在はフリーランスで、スポーツを中心に様々なWebコンテンツを配信。JF3の運営をはじめ、フリースタイルフットボール界を盛り上げるべく、多岐に渡る活動を行っている。

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