YOSSHI & YU-Jが明かす、あの“トラブル”の裏側
世界最大規模の大会「SUPER BALL 2018」に出場し、Double Routine部門で準優勝を果たしたYOSSHI & YU-J(LA CLASSIC)。
同部門において4年連続の表彰台入りを果たした彼らだが、パフォーマンス中には照明が消えるトラブルが起きた。
2年前にも音楽が消えるトラブルに見舞われたが、2回目のトラブルをどのように捉えているのか。
常に良い環境でパフォーマンスができるとは限らない
-SUPER BALLには4年連続の出場となりましたが、過去の大会と比べて変化は感じますか?
YOSSHI:大会としては毎年、エントリー数が増えています。また、以前はチェコのリベルツという田舎で開催されていたのが、プラハ(首都)でやるようになって、規模が大きくなってきている印象です。
僕たちも毎年心境が違って、1年目は何も分からないまま、優勝できるという意気込みで突っ込んでいました。そして2年目は王者として行ったので、プレッシャーがすごかったです。
3年目はそのプレッシャーから解放されて、違った楽しみ方ができて。今年はもう大会自体に慣れていたので、リラックスした状態で臨めたと思います。
-Double Routine部門は、予選と決勝で2パターンのショーケースを行いましたが、どのようなコンセプトで作ったのでしょうか。
YOSSHI:予選と決勝で同じパターンではつまらないので、毎年2パターンを用意しています。
予選に関しては、抑えつつも1位か2位で通過はしようというイメージで作りました。決勝は、その抑えていたものを解放して、面白いストーリーやサプライズも加えてみました。
出典:Street Soccer International
(YOSSHI & YU-Jの予選は15:15〜)
-Double Routine部門には、何グループが出場しましたか?
YOSSHI:今大会は、昨年よりはグループ数が少なかったと思います。
YU-J:いつもは、僕たちとFagerli Brothers(ノルウェー)、FOOTSTYLE(フランス)でトップ3を争っていたんですけど、今年はFOOTSTYLEが出ていなかったですね。
-2016年は音響トラブルがありましたが、今大会では照明トラブルに見舞われました。かなり序盤で照明が消えてしまい、パフォーマンスが困難な状況ではありましたが、それでも止めずに続けた理由を教えてください。
YOSSHI:普段のイベントでもそうですけど、常に良い環境でパフォーマンスができるとは限らないです。ステージが小さかったり、天井が低かったり、野外なら雨や風が強かったり。
自分たちがやりたい環境でできることは少ないので、そういう状況を考えていつも練習していますし、それは照明が消えたからといって変わらないと思っていました。
出典:Street Soccer International
(YOSSHI & YU-JのDouble Routine決勝は2:16:30〜)
YU-J:正直、見えなかったですけどね。
YOSSHI:またすぐ付くと思っていたのもありますし。
YU-J:逆に、このままやりきったらすごいというワクワク感もありました(笑)
YOSSHI:一瞬止めるか迷いましたけどね。
YU-J:なんだかんだ、やりきってしまったほうが良かったと思います。最初の下りを一回見せてしまっているわけですし。
運営側から納得のいく説明はなかった
-ジャッジ席からはパフォーマンスが見えていたと思いますか?
YU-J:映像で確認した感じだと、見えていないと思います。ジャッジ席からステージまでは距離があったので。
YOSSHI:僕たちも結構見えなくて、後ろにあるモニターの光でなんとか見えましたけど、ジャッジ席からはかなり見づらかったと思います。普段ではありえないようなミスも出てしまいましたね。
YU-J:できるだけミスをしないように、少し内容を変更していました。
出典:Street Soccer International
(YOSSHI & YU-JのDouble Routine決勝は2:07:25〜)
-パフォーマンスが終わって、周囲からはどのような意見がありましたか?
YOSSHI:(暗闇の中でやりきったことが)すごかったという人と、単純に運が悪かったという人と、あれは故意だったという人と。いろいろな意見がありましたね。
YU-J:僕たちが優勝した時くらい、SNSではいろんな反響がありました。
YOSSHI:話題性はかなりありましたね(笑)
-運営側とはどのような話し合いをしたのでしょうか?
YOSSHI:最初に聞いた時は、周りにスケーターがいて、スケートボードで照明のコードを踏まれて、消えてしまったという説明をされました。それが次の日の夜は、ブレーカーが落ちたという説明に変わっていました。
ジャッジや周りの人たちからは、ありえないという意見が挙がっていたみたいです。
-Fagerli Brothersの3連覇という結果になりましたが、この3年間で「これは優勝しただろう」という感覚があった年はありましたか?
YU-J:全部ですね(笑)
YOSSHI:ジャッジの基準や好みがあるのは分かっていますが、自分たちとしては優勝した感覚がありました。
YoとKazane、そしてFagerli Brothersの印象
-今大会で印象に残った点を教えてください。
YOSSHI:僕が世界大会に初めて出たのが19歳の時だったんですけど、いつの間にか日本勢の最年長になっていたのは驚きました(笑)
今までより若い年齢の選手もたくさん出てきたので、フリースタイルフットボールが世界的に広まってきていることを感じました。
YU-J:そんな気軽に世界大会へ出られるようになったことが、すごいと思います。
-Battle部門ではYoとKazaneがベスト4に進出しましたが、印象はいかがでしたか?
YU-J:毎年決勝トーナメントには上がっていたので、そこまで不思議ではなかったですね。世界が日本人のオリジナリティを、より理解してくれるようになってきていると思います。
-YOSSHIさんはRoutine部門で3位となりましたが、Double Routine部門との戦い方の違いはありますか?
YOSSHI:Routine部門は、大人数の予選から一気に決勝へ進む5人に絞られるので、気を抜きすぎたら危ないんです。でも、見せすぎるのも良くないので、抑えつつ本気を出すという戦い方をしています。
最近は予選で抑えすぎて、今年が4位通過で、去年が5位通過だったので、かなりギリギリでした(笑)
ただ、決勝でパフォーマンスする順番は、予選の順位と逆になるので、本気で勝ちたいのであれば予選を1位で通過して、決勝は最後にやるほうが良いですね。そのほうが印象にも残りやすいと思います。
去年も見ている人からは「YOSSHIが優勝だ」と言われましたけど、予選が5位通過で、決勝は1番手になってしまったので、印象が薄れてしまったのかもしれないです。
-Double Routine部門でも、予選と決勝で順番は逆になるのでしょうか?
YOSSHI:そうなりますけど、今大会はFagerli BrothersがBattleと出番が連続してしまう関係もあって、順番を入れ替えていました(Fagerli Brothersが5番→3番、YOSSHI & YU-Jが4番→5番に)。それは去年も同じでしたね。
-Fagerli Brothersのパフォーマンスの印象はいかがでしたか?
YOSSHI:難しいことをしているのは分かりますけど、僕たちの中では、ショーケースとして美しくない印象はあります。ミスした時にボールを手で扱うことも堂々とやってしまっているので、それはかっこ良くないと思います。
僕たちはセンスで勝負していて、彼らはスキルで勝負をしているというイメージですね。
「肩書き」ではなく「内容」を評価する人が増えている
-結果的には4年連続で表彰台に上りましたが、やはり悔しさが大きいでしょうか?
YOSSHI:毎年、優勝していてもおかしくないと思っているので、悔しさはあります。
ただ、優勝した2015年は、肩書き的に僕たちを評価してくれる人が多かったんですけど、最近は肩書きではなく、内容を見て評価してくれる人が増えてきているので、それは良いことだと思います。
YU-J:僕たちの要素を取り入れてくれている人もいますし、注目度は上がってきていると感じます。
YOSSHI:たしかに、楽しみにしてくれている人は増えましたね。
-SUPER BALLの意義や、勝ち抜くことの意味をどこに感じていますか?
YOSSHI:バトルだったら他の大会もありますけど、RoutineやDouble RoutineはSUPER BALLにしかないので、僕たちが大会で魅せる場はここしかないんですよね。
YU-J:一年に一回、挑戦できる場を設けることによって、自分たちの成長にも繋がるので、意味はあると思います。
YOSSHI:毎年出ることによって自分たちの身が引き締まる部分もありますし、刺激も得ることができます。海外に友だちができることも楽しいですね。
-来年も出場する予定ではいるのでしょうか?
YOSSHI:それは分からないです(笑) 僕たちはスポンサー様にサポートしていただいて出場しているので、サポートして良かったと思えるくらいにならないと、来年も行ける保証はないので。
毎年行けるように、自分たちの魅力を知ってもらったり、発信できる場を作ったりしていきたいと思っています。
-バトルだけでなく、RoutineやDouble Routineがもっと盛り上がってほしいという思いはありますか?
YOSSHI:海外の選手のショーケースを見ていると、予選は特に宴会芸っぽさがあります。宴会芸も良いんですけど、もっと違ったセンスのある人や、かっこいい人が増えてきてくれると嬉しいですね。
YU-J:すごい人とすごくない人の差はかなり大きいですね。もっと出場する国の数も増えてほしいと思います。
YOSSHI:逆に言えば、今は僕たちがショーケースのパイオニア的な存在になれるチャンスだと考えています。
-今後の意気込みを教えてください。
YOSSHI:僕たちは大会だけでなく、普段のパフォーマンスも、良いものを作ることに対してこだわりを持ってやっています。どんな場所でも、良いものを見せられるようにしていきたいと思っています。
YU-J:もちろん結果が伴ってほしい気持ちはありますけど、結果以上に自分たちの納得がいくものを見せたい気持ちが強いです。
そういう意味では、2016年から2018年のSUPER BALLでも、自分たちとしては優勝したと思えるくらいのパフォーマンスができたので、満足はしています。
-SUPER BALLで優勝する上では、何が足りなかったと考えていますか?
YOSSHI:照明(笑)
YU-J:もちろん難易度も意識はしますけど、単純にもっと魅力を上げていく必要はあります。
YOSSHI:自分たちが考えている難易度と、ジャッジや海外の人たちが考えている難易度は種類が違うと思います。その中で、自分たちが考えている難易度を上げていきたいです。
YU-J:SUPER BALLの基準に寄せてしまうと、自分たちの良さがなくなってしまって、余計勝てなくなってしまうので。
YOSSHI:自分たちの良さを持った上で、それをさらに磨いていきたいですね。
投稿者プロフィール
- 中学生からフリースタイルフットボールを始め、大会やパフォーマンスなどに積極的に参加。現在はフリーランスで、スポーツを中心に様々なWebコンテンツを配信。JF3の運営をはじめ、フリースタイルフットボール界を盛り上げるべく、多岐に渡る活動を行っている。
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